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コラム

2023.07.07
コラム
足場組立作業主任者とは?受験資格と取得のメリットを紹介
建築工事において、安全・安心で作業がしやすい足場の設置は欠かせません。
建築現場に足場を設置する場合は、足場の構造や組み立て方法を熟知していることが必要です。
特に、マンションやビルなどの高層建築物に使われる足場を組み立てる場合は、その重要性が高まります。

足場を組み立てる作業者には、法律で定められた教育を受講して、正しい知識を習得していることが求められています。
また足場組み立て作業を監督する者にも法律で定められた資格が必要です。

今回は足場作業を指揮する者の資格である「足場組立作業主任者」について解説します。


▼ 目次
 1.足場組立作業主任者とは
    1-1.  労働安全衛生法施行令 第6条15号
    1-2.  足場特別教育との違い
    1-3.  足場組立作業主任者になるには講習を受ける必要がある
   2.  足場組立作業主任者の資格取得のメリット
   3.  足場の組立等作業主任者講習の受講資格
   4.  足場の組立て等作業主任者技能講習の内容
       4-1.  作業の方法に関する知識
     4-2.  工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識
     4-3.  作業者に対する教育等に関する知識
       4-4.  関係法令
   5.  まとめ


1.足場組立作業主任者とは

 
作業主任者とは、労働安全衛生法第14条により労働災害を防止するための管理が必要な作業において、
当該作業に従事する労働者への指示や厚生労働省の規定事項の遵守を行う役割を担う者のことです。

足場組立作業主任者の指示に従い、足場の組立て等特別教育を修了した作業者によって足場を組み立てます。

1-1.労働安全衛生法施行令 第6条15号



作業主任者を選任しなければならない作業としては、労働安全衛生法施行令第6条で決められており、
足場に関しては第6条15号で「つり足場(ゴンドラのつり足場を除く)、
張出し足場又は高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業」が定義されています。

この法律によって、5メートル以上の足場組み立て作業を行う場合は、足場組立作業主任者を選任しなければなりません。
足場組立作業主任者を選任しなければならない作業において、足場組立作業主任者を選任していない場合、
6カ月以上の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

1-2.足場特別教育との違い


足場組み立て作業に関係するその他の技能資格として「足場の組立て等特別教育」があります。
足場組立作業主任者との違いは、「足場の組立て等特別教育」が特別教育としての位置づけであり、
特別教育を実施する教育機関は各都道府県労働局の登録を受ける必要はありません。

一方、足場組立作業主任者は技能講習という位置づけとなるため、
実施する教育機関は各都道府県労働局の登録を受ける必要があります。
また作業主任者に選任され、当該作業を指揮する場合は、
作業主任者技能講習を修了した証明証を携帯していなければなりません。

しかし足場組立作業主任者は工事現場で指揮を行うため、紙の証明証を携帯していても、
汗などで直ぐにボロボロになってしまうことでしょう。
そのため修了した技能資格を統合したカードにして発行してもらえるサービスがあります。

このサービスは、国から委託されている技能講習修了証明書発行事務局が行っており、
携帯が必要となる複数の技能資格について、修了したことを1枚のカードで証明することができます。

カードの携帯が必要な複数の技能資格を取得した場合、このサービスを利用することをおすすめします。
ちなみに足場組立作業主任者の資格は、足場の組立て等特別教育の上位資格として扱われます。

1-3.足場組立作業主任者になるには講習を受ける必要がある


足場組立作業主任者になるには、各都道府県労働局の登録を受けている教育機関で講習を受講する必要があります。
登録を受けていない教育機関で講習を受講しても、足場組立作業主任者としての資格は取得できません。

講習を申し込む前に、登録を受けている教育機関であるか必ず確認しましょう。
受講料については、実施する教育機関によって異なりますが、16,000円程度で受講できます。
 

2.足場組立作業主任者の資格取得のメリット

 

5メートル以上の足場の組立て・解体・変更作業する場合、
足場作業主任者を選任して作業指揮を行わなければなりません。
そのため建築業界ではニーズの高い資格です。

大規模な建築工事の場合、足場作業が数週間続くこともあるでしょう。
そのような工事では、足場作業主任者を複数選任します。
足場作業主任者を1人しか選任していなかった場合、足場作業主任者が体調不良などで休まなければならない時に、
足場組立作業が行えなくなってしまいます。

また足場組立作業は墜落や転落などの危険が伴う作業です。
そのため、足場作業を安全で確実に指揮できるようになれば、事業者からの信頼を得られるため、業務の幅が広がります。
さらに給与面やキャリアップなどの待遇が有利になるでしょう。

3.足場の組立等作業主任者講習の受講資格



足場の組立等作業主任者講習を受講するには、受講資格が必要です。
受講資格については、法令・通達の足場の組立て等作業主任者技能講習規程で、次のように決められています。

・満21歳以上で、足場作業に3年以上従事した経験
・満20歳以上で、大学、高専、高校、中学で土木、建築または造船に関する学科を専攻し、その後2年以上足場作業に従事した経験
・職業能力開発促進法による訓練を受けた者

作業従事の経験については、事業主による証明が必要となり、大学や高専などの専攻証明については卒業証書などの書類が必要です。
当然ですが受講資格の条件が証明できない場合は受講できませんので、申し込み時にしっかり確認しましょう。


4.足場の組立て等作業主任者技能講習の内容



足場の組立て等作業主任者技能講習の内容についても、足場の組立て等作業主任者技能講習規程で決められています。
講習科目と時間は次の通りです。

4-1.作業の方法に関する知識


作業の方法に関する知識として、足場の種類、材料、構造や足場の組立て、
解体及び変更の作業の方法などについて学びます。講習時間は7時間です。


4-2.工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識


工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識として、工事用設備及び機械の取扱いや墜落防止のための設備、
落下物による危険防止のための措置について学びます。
悪天候時における作業の方法や服装及び保護具についても学びます。
講習時間は3時間です。

 

4-3.作業者に対する教育等に関する知識


作業者に対する教育等に関する知識として、作業者に対する教育及び指導の方法や災害発生時における措置について学びます。
講習時間は1時間30分です。

4-4.関係法令


関係法令として、労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則及びクレーン等安全規則の関係条項について学びます。
講習時間は1時間30分であり、合計13時間の学科を受ける必要があります。

実習はありませんが、講習最後の試験に合格すれば修了です。
合格の基準は全科目合計60点以上かつ各科目40%以上の正解率が必要です。

試験については講習の内容を聞いていれば合格できると言われており、講師から需要なポイントは強調して説明されるので、
しっかり講習を聞いていれば合格できます。

5.まとめ



5メートル以上の足場の組立て・解体・変更作業する場合に必要な、足場の組立て等作業主任者について解説しました。
講習は2日間で学科だけですが、講師の説明をしっかり聞いていれば試験に合格できるでしょう。

講習を修了した後は、技能講習修了証明書発行事務局で修了証明書(統合カード)を申請して交付してもらいましょう。
統合カードを申請することで、万が一カードを破損や紛失した場合でも速やかに再発行の手続きを行うことができます。

2023年3月からオンラインによる申請ができるようになり手続きがしやすくなりました。
足場の組立て等作業主任者に選任された場合は、修了証を必ず携帯しましょう。
足場組立作業主任者とは?受験資格と取得のメリットを紹介